開発事例

EUT アップサイジング事例

弘和電気株式会社 様
弘和電気株式会社 様

工事台帳のデータベース化で 現場レベルでの数値管理を実現して、
効果的な業務改善を実践

中堅の企業にとって IT 化による数値管理や経営に関する情報の的確な提供は、そう簡単なものではありません。受発注伝票の作成から原価計算まで、現場レベルでの数値管理が徹底されていないことが多いからです。北海道札幌市で電気工事業務を主体に行っている中堅の電気工事会社弘和電気株式会社では、この問題に真正面から取り組み、まず、Access によるデータベースを作成して試験運用した後、SQL Server にアップサイジングすることによって、本格的な数値管理と業務改善を低コストで実現しました。

● 担当者だけがわかる工事台帳から ACCESS による台帳へ

弘和電気株式会社 取締役社長 中村 清氏 弘和電気株式会社では、設立当初から、事務職が台帳管理を集中して担当していました。しかし、ほとんどの案件が担当者ベースで個々に管理されており、中には台帳にない工事なども存在していたため、案件ごとの請求処理はもちろん、会社全体の現状を把握することが、すぐにはできないような状態でした。 そのため、4 年ほど前から図面の CAD 化に合わせて Microsoft Office Excel と Microsoft Office Word による統一フォーマットでの台帳管理を行っていましたが、担当者ごとにデータを保持していたため、状況はあまり変わりませんでした。

 そこで、同社工事部 部長の吉田 衛敏氏は、データを統合して共有化することによって、台帳を会社全体で把握できるように、柔軟性と汎用性のある Access による業務システムの開発を独自に始めました。当時、Excel や Word で作成していたフォームを同じような形式で入力できるようにして、試験的に台帳を Access で作成すると同時に、顧客の基本情報など、一度入力したものを台帳ごとに再入力する必要がないようにしました。部長自らが 1 年ほど試用してみた結果、従来の Excel や Word による処理から、データベースによる処理に全面的に移行することを決断しました。 「当初、自分専用のシステムとして Access で台帳を作り始めたんです。しかし、Access の持つ柔軟性や汎用性を利用すれば、現状の台帳管理をもっと効率的に行うことが可能になると思いました」(吉田氏)。

● 経営情報の把握もポイント

 当初は、専用ソフトでの開発も視野に入れていましたが、調査を行うと開発費用が予算よりも数倍になることが判明しました。Access を全社で使うことも考えましたが、サーバーのハードウェアが古く、ちょうどリプレースの時期であったこともあり、ここまで試験運用してきた Access の資産を活かした Microsoft SQL Server への移行を検討しました。移行のための調査を進めていくと、パートナーとしてAccess から SQL Server への移行に関して実績のある株式会社インフォースが最適であるとの結論に至り、同社に移行作業を依頼することにしました。

 基本的なテーブルやクエリなどは、既に Access で完成されているため、焦点は、これをいかに SQL Server へ移植するかということでした。もちろん、これまでのデータがそのまま利用でき、社員がデータを共有できることが大前提ですが、同時に、時間のかかっていた経営情報の経営トップへの提供をリアルタイムで行うことも重要なポイントでした。

 これまでは、全社的な経営情報の把握には、Excel や Word での書類や台帳を個々に集計しなければならず、数値管理が統合化されていなかったために、経営トップが全社的な情報を把握するのには非常に時間がかかっていたのです。「何しろ、決算時期になって1年前の未請求が出てきたり、台帳にない小さな工事が見つかったりと、経営情報の把握には苦労していました」(同社 取締役社長 中村清氏)。

● SQL Server への容易なアップサイジング

 2006 年 1 月から本格的に移行を開始しましたが、移行にあたっては Access アップサイジング ウィザードによる Access ファイルの全面移行を行いました。データベースはもちろん、テーブルからクエリ、フォームまで、Access プロジェクトとして ADP ファイルが生成されるので、非常に容易に SQL Server への移行を行うことができます。
(※ADPからの逆アップサイジング、Azureへの変換も可能です。)

 移行したシステムは、数回のテストの後、すぐに稼動することができました。また、Access をフロントエンドで利用しているため、従来の同社統一フォームでの入力や操作性には違和感がなく、当初の Access による開発コンセプトがそのまま SQL Server でのシステムに活かされています。SQL Server 2005 Standard Edition の導入と同時にサーバーも入れ替え、2006 年 4 月から本格稼動を開始しました。 「本当に苦労らしい苦労はなかったです。操作性なども変わりありませんから、教育の必要もほとんどなく、まったく問題なく移行できました」(吉田氏)。

 この言葉に集約されるように、Access から SQL Server への移行は、非常にスムーズに行われ、問題らしい問題もありませんでした。Access のデータベースを SQL Server へと移行させるのは、実に容易で短期間、かつ低コストで可能なことだったのです。

● 当初予定した成果がアップサイジングで完全時実現

 問題なく導入されたシステムは、当初の予定どおりの成果をあげました。 「工事台帳、顧客台帳がしっかりしたので、担当者が不在、または退職した後でも工事ごとにデータをすぐに把握できますし、ISO のトレーサビリティ情報へのフィードバックも確実に行えるようになりました」(吉田氏)。

 さらに、受注から支払い、請求までが同一番号で管理されてシステムで一望できるため、必要な情報を得るために紙の台帳をくくる無駄な時間がなくなり、業務が効率的になりました。そして、もう 1 つの課題である経営情報の提供にも多くのメリットが生まれています。 「今までは、いい面でも悪い面でも融通のある体制でしたが、このシステムを導入してからは、すべての数字がすぐにきちんと出てきます。ごまかしができないのです。これは、経営者にとってはすばらしいことで、すべての工事の受注経緯から予算規模、注文、支払いなどがすぐにわかることによって、経営戦略も立てやすくなります。さらに、社員が予算管理について前向きに考えるようになったことも、メリットの 1 つです」(中村氏)。

 同社では、このシステムを導入後、SE 事業部を設立して同社が開発した SQL Server によるシステムを「工事管理システム」パッケージとして販売を開始しました。これは、IT 化が遅れている工事会社において、より簡単に、より短期間で近代的な社内情報管理を実現できればという、同社の願いでもあります。また、作業効率のアップをはじめ効率化を要求されている同業者のみならず中小規模の建設業全体のために、同社の SQL Server によるシステムを顧客へのサービスおよびサポート面を含めサービス化して、お客様の初期投資を軽減するために安価で、使い勝手が良く、導入しやすい総合システムとして提供しています。さらに、同社では、同じ作業は二度することなく、社内情報の展開スピードのアップ、共有化によって会社全体のスキルアップを実現し、社会貢献ができる企業、建設業全体の効率アップを支える企業を目標に、お客様へのサービス提供の実現を目指しています。

 手作業から Access、そして SQL Server へとデータベースを移行してきた同社だからこそ実現できたアップサイジング。近代的な数値管理を実現した同社なら、今後も優れた業務改善がなされることでしょう。それを確実にサポートしているのが SQL Server なのです。

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