Access アップサイジング事例 株式会社プロテック
最終更新日: 2009 年 4 月 14 日
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小規模なデータベース向けに設計されている Access では、データ量やトラフィックの増加による処理速度の低下や競合は避けて通れません。しかし、独自のプログラム開発には予算と時間がかかります。三重県四日市市を中心に電気設備工事の設計から施工、保守点検を行っている株式会社プロテックでは、社員の作成した Access によるデータベース システムから SQL Server へのアップサイジングを、ADP ファイルによる移行で短期間に実現し、大幅な業務改善を実現しました。
バラバラだった伝票処理を Access に統一
株式会社プロテックでは、1991 年の設立以来、電気工事の受注から完了までに必要な伝票や書類を、各スタッフが手書きや Microsoft Office Excel による帳票など、さまざまな形で提出していました。しかし、集計に時間がかかり、データも各自の PC に保存されていたため、非常に効率が悪く、基本的な情報収集にも時間がかかるのが現状でした。そこで、2 年前から、同社 EIM 技術部電気技術チームの山浦 義治氏が、業務の合間を見て作成した Microsoft Office Access でのシステムに、これらを全面的に切り替えました。PC クライアント数は 15 台で、そのうちの 1 台を Access によるデータベース サーバーとして利用するシステムでした。
システムとして利用できるのは、見積書、受発注伝票、購買伝票などで、半年ほどかけてさまざまな要望や細かい不具合を調整した後に、本格稼動になりました。
現場事務所との通信回線問題でデータ共有が困難に
株式会社プロテック EIM 技術部部長代理 北瀬 啓典氏 |
同社では、現場工事のために顧客先企業の現場事務所へ長期間にわたって出向くことがあり、本社内だけの稼動ではなく、現場と本社とを結んだシステムが望まれていました。そのため、次のステップとしては、Access を使って現場事務所と本社とを通信回線で結び、データを共有することでした。
しかし、さまざまな事情によって、通信回線として確保できたのは通信速度が 1 MB の ADSL 回線だけであり、本社にある大量の Access データを一括して送受信するには時間がかかっていました。そこで、現場事務所と本社で入力したデータは、それぞれ一定期間レプリケーション (複製化) を行い、レプリケーションした現場事務所のデータを本社のデータにマージするという方法に切り替えました。
ところが、このマージ作業において、データの競合による抜けがあるため検証を行わなければならないなどの問題が発生し、早急に対応をする必要がありました。
「本業との兼務で Access のシステムも担当していたので、トラブルが発生すると休日でも呼び出されたりして、たいへんな作業でした」(山浦氏)。
SQL Server へ容易にアップサイジング
そこで、2005 年の 11 月に、現状の問題点を改善すべく予算を確保して、外部の会社にシステム開発を依頼することになりました。依頼する開発会社を調査しているうちに、Access や SQL Server によるシステム開発では定評のある株式会社インフォースに至りました。当初は、独自にプログラム開発を行うことも検討しましたが、予算的な問題、および操作性の継承ということもあり、フロント エンドは Access を利用しつつ、データベースは Access から Microsoft SQL Server 2005 Standard Edition へのアップサイジングが最適との結論になりました。
移行にあたっては、業務のヒアリングや現在の Access データベースの解析などから始め、Access アップサイジング ウィザードによって ADP ファイルを作成し、Access プロジェクトによる SQL Server への移行を行いました。
もちろん、重要な基幹業務の移行ですから、その検証が必要になります。同社では、2 か月をかけて入力、集計について検証を行い、2006 年 4 月からの本格稼動を実現しました。数百あるテーブルやクエリも問題なく移行することができました。
「移行は実にスムーズでした。一部、再検証が必要なところはありましたが、2 回ほどの検証作業と調整で問題はなくなりました。また、現場事務所との通信についても回線自体は変わっていないのですが、データの受け渡しがとてもスピーディに行えるようになり、本社と変わらない環境を実現できました」(山浦氏)。
Access で限界を感じたら SQL Server に移行するメリットは大きい
株式会社プロテック EIM 技術部電気技術チーム 山浦 義治氏 |
稼動した SQL Server によるシステムは、同社の業務効率を大きく向上させるものでした。
「まず、処理速度が大幅に向上しました。また、Access のフォームをそのまま利用して、入力は Access で行っているので、従来のシステムとの違和感がなく、他のスタッフもすぐに使えるようになりました。もちろん、データの抜けによる検証作業やファイルの破損などの不安もなくなりました」(同社 EIM 技術部部長代理 北瀬 啓典氏)。
「社内システムとしては、データ競合もないので業務が大幅に改善されています。SQL Server をもっと早く知っていればよかったと思っています。Access の限界がどこにあるかを手探り状態で行っているよりも、ある程度限界だと感じたら SQL Server に移行する方が非常にメリットがあると思います」(山浦氏)。
現在、同社では、処理能力とパフォーマンスの向上だけでなく、SQL Server をさらに業務に活かすために、2006 年 8 月から社員に向けて「改善シート」を配り、入力作業やシステム上の改善点、さらに統計データを有効活用する方法などを募り、より一層の活用に向けて準備中です。また、現場事務所とも VPN を利用した PHS での通信などによって、より効率的なデータ通信を行う予定です。
データ競合、クライアント数の増加などに対して、積極的にシステムをアップサイジングすることによって解決した同社では、これからもデータベースを活用してさらなる業務の効率化を図っていくことでしょう。
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